日管連のブロック研修会_第三者管理方式に関連する3講演を聞きました

5月8日(土)13時より、日本マンション管理士会連合会主催の『第13期ブロック研修会(Web配信形式)』をWebで受講しました。講演内容は以下3点でした。
講演1:第三者管理者方式の導入について
    <東京都マンション管理士会理事長 親泊 哲氏>
講演2:管理組合損害補償金給付制度について
    <日管連副会長 髙辻 潤司氏>
講演3:国交省補助事業(マンション管理適正化・再生推進事業)について
    <東京都マンション管理士会・日管連モデル事業等研究委員会委員 中山 孝仁氏>

マンション管理士に合格したばかりの私にはとてもショッキングな事実が語られ、その事実に対応する方策についての補償制度が報告され、またそのような難しい課題に関して国と関連団体が協力してノウハウの蓄積を図っている事実に素直に驚きました。

講演1では冒頭「コンサルタントではなく、なぜ管理者(役員)になる必要があるのか」から始まります。私は築24年のマンションに住んでいますが、幸い歴代の理事さん達がその時々において理事会業務に邁進し、管理組合を正常に維持されてきたのだろうと思います。しかしそのようなマンションでも築年数がかさむと同時に高齢化や賃貸化がやってきます。理事の成り手に苦しみ、マンション管理士等の専門知識を有する外部専門家を管理組合運営上の当事者(管理者や役員)の地位に据え、業務運営全体の一義的な責任まで負わせるという、『第三者管理方式』に移行せざるを得ない状況になるかもしれないのです。また事実そのような管理組合が少なからず存在するという報告でした。講演はこのことを序章として、第三者管理方式の4つのパターンの説明、区分所有者全体が納得するための移行手順が細かく報告されていました。第三者管理方式に移行せざるを得ない区分所有者の皆さんの苦しみがあり、気力の薄れを感じ、恐らく携わるマンション管理士の役目として、総意を実現するためのレール敷きが大変なのだろうと感じました。

講演2では第三者管理方式を導入した際の外部専門家が、日本マンション管理士会連合会所属の認定マンション管理士である場合、そのマンション管理士が不正を働いた場合に1億円を上限に管理組合は経費負担無しで補償を受け取れるという制度の紹介でした。業界団体が所属する会員の不正に対して補償制度を構えるという形は、実態として日本マンション管理士会連合会がマンション管理組合の正常な業務運営をサポートする役割を担っており、連合会の存立意義が感じられます。正直、考えられているなと感心しました。ただ、連合会内の調べでは、第三者管理方式に移行している管理組合は60組合あるとのことでしたが、この給付制度を採用されているのは6組合とのこと。今後の広報活動が強く望まれるところです。

講演3では国交省の補助事業で、「マンション管理適正化・再生推進事業」の紹介です。内容は、『マンション管理活動のモデルとなるような先進的な維持管理適正化・再生促進に取り組む具体の管理組合の活動支援』等に対して、応募し認められた場合補助金が出るとのことです。そして何より補助事業内容の活動記録や活動に使用した各種資料が公表されることです。国土交通省の該当のページには『●マンションの維持管理の見直しに取り組んだ事例の紹介』があります。クリックしてみると、例えば「管理組合運営の診断チェックシート」や重たいものであれば「給排水管更新工事実施要領」などがあり、これは見応え(読み応え)があるなと感じました。これまで国の施策をあまり意識して生きてこなかったのですが、マンションに関しては適正化法の成立からマンション施策が国、業界団体によって様々な課題をその都度協議され、また数十年先を見据えた議論を重ねていることが分かり、その一端に触れ、自分も何かのお役に立ちたいなと強く思いました。

自分としてはまだ入口にしか立っていませんが、空家問題に関心を持っています。単純に人口が減少しているにも関わらず、戸建て住宅やマンションもそのスピードを緩めること無く新築されている現状は、良いはずがないと思っています。どこかで何かを変えていかなければ、廃墟だらけになってしまうのではないかと思います。機会があれば勉強していきたいし、発信していきたいと思っています。